野原ニ還シテクレナイカ

都会のフシギのひとつはネ あふれるほど人がいるのに

私のすべてを理解する ヒトが探せないことです

 

小さな言葉の切れ端を 思い思いに膨らませ

思いもよらぬ方向に 旅をさせるのが街です

 

 乗り遅れたのは駅前の 時計の針のせいですか?

 改札を抜けてもう一度 私は鞄を持ち直す

 

  野原ニ還シテクレナイカ 靴を片っぽなくしたの

  きっと今頃菜の花が 風に揺られてまってるはず

 

あの人の場合は私と 少し歩く道が違ってた

彼の場合には性格を うまく合わせていけなかった

 

忙しすぎるのみんなして ほらまたアナタも忘れ物

春一番が吹いた時 あなたコートが脱げますか

 

 背を押されながら乗り込んだ 黄色い電車が走り出す

 扉開くたびに一人づつ それぞれの波に泳ぎ出る

 

  野原ニ還シテクレナイカ 散るだけが花じゃないよね

  堅いさなぎを羽ばたく蝶に かえて季節は流れてゆく